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BJYの備忘録

千葉県東総でアマチュア無線を楽しんでいます。 以前は九十九里エリアでお手軽移動運用がメインでした(UHF)。 コロナ禍以降は固定運用がメイン(HF)。 実家(東京八王子市)からも時々QRVしています。

第10話:同軸ケーブルで作る2分配器 (144/430MHz 2バンド用)

V/UHFでは、八木ANTを2本並べたもの(スタック八木)が多く見られます。
スタック八木に給電するには、2分配器を用いるわけですが、これには次の2つの方法があります。

①同軸管を使った分配器(ANTへの給電には分配器以外に2本の同軸ケーブルが必要)
②同軸ケーブルだけで構成した分配器(ANTへの給電にはこれだけで良い)

①はメーカー製のスタック八木に最初から付属しているもので、単体でも販売していますが
非常に高価です。
②は一部のメーカーがスタック化キットとしてオプション販売しているものです。

同軸管を使った分配器は、ロスが少ない点で性能は良いのですが、加工精度が要求される
ため、自作にはハードルが高いといえます。

その点、同軸ケーブルだけで構成した分配器は、安価で作れてそこそこの性能が出せるので
自作向きなのですが、計算通りに作ってもうまく動作しないケースが多いようです。
実際、私も過去に教科書通りに何本か作ってみましたが、全てSWRが下がらず失敗でした。

今回、②のタイプでメーカー製のものを参考に、自分なりにアレンジして軽量化したものを
製作したところ、成果がありましたので発表します。



参考にしたのは、第一電波工業のSS770Rという144/430MHz用のスタックケーブルです。
実は、今回の製作のきっかけになったのは、
私は普段、移動用に同社の八木ANTを愛用していますが、シングル八木の飛びをもう少し
UPしたいという思いから、スタック八木にするための分配器を購入したのですが、
これが太いケーブル(7C2V)で予想外の重量があり、またケーブル自体も硬くて取り回しが
難しく、移動には不向きな事がわかったので、使用を断念しました。

さて、このスタックケーブルを何とか軽量化できないものか。
物置を漁っていたところ、CS(衛星TV)に使ったケーブルの余りが出てきました。
S-4C-FVというもので、減衰量が少なく、絶縁体が発泡スチロールなので柔軟軽量で、
特性インピーダンスも7C2Vと同じ75Ωです。
今回はこのケーブルを使って製作することにします。



まず最初に、SS770Rの寸法を調べて考察してみます。
全長は2142mm、使用ケーブルは7C2Vで短縮率は0.67です。
Qマッチ整合ですから、半分(1071mm)が目的周波数の1/4λ×奇数倍になっている筈です。
実際には、1071mmは145MHzの1/4λ×0.67×3.090、435MHzの1/4λ×0.67×9.271、なので
ぴったり奇数倍になっていませんが、これは50Ωに整合させるためのQマッチの計算を
75Ωで行っているためで、ぴったり奇数倍にするとSWR1.0にはなりません。(Qマッチの
計算式は多くのHPにありますので、ここでは触れません)

これを元に、S-4C-FVを使った場合の寸法を割り出します。
S-4C-FVの短縮率は、メーカーの公表値で0.78とあります。
上の式に当てはめるて計算すると、半分の長さ(スタックケーブルの全長の中点)は
145MHzの1/4λ×0.78×3.090=1247mm
435MHzの1/4λ×0.78×9.271=1247mm
なので、全長は2494mmとします。



製作のコツは、この寸法を忠実に守ること、この1点だけです。
ケーブルは、真っすぐに伸ばして、所々養生テープで固定しておきましょう。
全長の半分点(スタックケーブルの全長の中点)は特に重要です。この位置がずれていると、
ケーブルの先端の給電がアンバランスになっていまい、均等に電力が分配されません。

図1の絵で、L1が2494mm、L1/2のポイントが1247mmになります。
今回は、移動用に特化して軽量化を図ったので、無線機側からの50Ωケーブル(L2)を
スタックケーブル中点へ接続する方法は、T型コネクタを用いずに、ハンダ直付けと
しました。
L2のケーブル長さは任意ですが、できれば使用周波数の1/4λ×短縮率×偶数倍になるように
すればOKです。私の場合はプリアンプを接続する都合上、短めの560mmにしました。
ちなみに、このケーブルシステム全体での430MHzでの減衰量は、計算で0.53dbです。



ケーブルシステムが完成したら、思惑通りの性能が出ているか、実際の特性を測ってみます。
(図2参照)

結果は、
MHz| (1)でのPOWER |(1)でのSWR|  (A)でのPOWER | (B)でのPOWER
430|  6.0     |1.13    |3.6      |3.5
431|  6.0     |1.15    |3.6      |3.5
432|  6.0     |1.18    |3.6      |3.5
433|  6.0     |1.20    |3.6      |3.5
434|  6.0     |1.22    |3.6      |3.5
435|  6.0     |1.26    |3.6      |3.5
436|  6.0     |1.30    |3.6      |3.6
437|  6.0     |1.33    |3.6      |3.6
438|  6.0     |1.38    |3.6      |3.6
439|  6.0     |1.40    |3.5      |3.5
144| 18      |1.02     |11      | 8
145| 18      |1.01     |11      | 8
146| 17      |1.01     |10      | 7.5

となり、スタックケーブルとしての役割をはたしています。
(移動運用での使用感も、期待通りの動作をしています)

  ※バンド内、SWR<1.5に納まっている。
  ※430MHzは低い周波数にSWR最低点があるようだ。(430より下?)
  ※2つの終端型電力計の誤差はあると思うが、分配器の電力ロスは問題なさそう。
  ※SWR計でのPOWERが少ないのは、校正が甘いため。(実際は(A)+(B)が正しい

 


図1 ケーブルシステムの外観(今回製作したものは、真ん中の四角いコネクタは無い)


図2 測定環境

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第9話:市販のロータリーSWを用いたANT切替器の実験

アマチュア無線を長年やっていると、だんだん無線機やアンテナが増えてきます。
無線機1台1台に別々のアンテナを接続できれば理想的ですが、実際にはそうもいかず
1台の無線機で別々のアンテナを使う、逆に1本のアンテナで別々の無線機を使う、
というケースがほとんどだと思います。

こんな時に活躍するのが、同軸切替器というものですが、メーカー品は高価で
しかも2接点以上の物は入手が難しくなってきています。

今回、同軸切替器に依らず、ごく普通のロータリーSWを用いて、ANT切替器として
使えるかどうかを簡易実験してみました。


使用したのは、アルプスSRRM-M26という2回路6接点のもので、周波数は144MHzと
しました。経験的な理由から、430MHz以上の高周波は完全な同軸構造でないと
使い物にならず、144MHzであれば素人工作のレベルでも何とかなると考えたからです。

結果、144MHzの小電力であれば、切替器として問題なく使えることがわかりました。
(同軸構造ではないので、一応、単なる切替器としておきます)
但し、今回実験したRIGは5Wなので、これ以上の送信出力に耐えるかどうかは不明です。



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第8話:ゾロ目

今年も早や12月。

先月中旬から急に仕事が忙しくなり、ブログの更新が滞ってしまい・・・
書きたいネタは沢山あれど、頭の中で整理が追い付かないので、まずは一息。


今朝、勤務先の駐車場で、エンジンを止める前にふと目にしたのが下の画像

 

もうすぐ大台だなぁ、とは感じていたのですが、まさに絶妙のタイミング!
まさかTRIPメータまでゾロ目になるとは思っていませんでした。

で、帰路は晴れてこの通り



明日は何かいいコトあるかも。

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第7話:東総への想い ーユカをよぶ海ー

それは、遡ること50数年前、1冊の本がきっかけでした。

小学校の入学直後のことだったと思います。
姉が持っていた、「ユカをよぶ海」という漫画の単行本を見せてもらいました。
当時はまだ漢字が読めませんから、姉に読んで聞かせてもらったのかもしれません。

その中に、なぜか不思議に、最後の1シーンだけが印象的に、ずっと頭の中に
記憶として残っていました。
それは、主人公のユカという女の子が、最後にお父さんと暮らした、海辺の崖の上の家。
これを読んだ当時は、それがどこなのかも知らず、ただ漠然と、脳裏に焼き付いていました。

そして社会人になり、慌ただしい毎日を過ごすようになった頃、ふと、この漫画をもう一度
読みたくなって、古本屋で全4巻を購入しました。

第4巻の最後のページ・・・、そこには、まさしく幼い頃に見た、あの1シーンがありました。
物語の場所は、千葉県の飯岡ということも初めて分かりました。

地図で調べてみると、千葉の東、銚子にほど近い所らしいです。
どんな処だろう・・・と、段々行って見てみたくなりました。

そして10年ほど前の6月、勤務先の引っ越しで4日ほど予定外の休みが貰えることになり、
家族からのOKも得て、思い切ってかの地に出かける事にしました。

東関東道を一路東へ、途中、冨里で降りて休憩した後、そのまま更に東へ、、、
着いたのは、匝瑳市の野手浜という所でした。
ここで、しばらくの間、九十九里浜を見ながら好きな無線を楽しんだ後、目指す刑部岬へ。

県道30号線を北上し、飯岡町にさしかかった時でした。
夕刻だったのと、少し霧がかっていたこともありますが、
突然眼前に現れたのは、黒い大きな陰影の切り立った崖!
これが、刑部岬との初めての出会いでした。

後でわかったことなのですが、
旭市内から飯岡バイパス経由で来る分には、特に変哲がない感じの岬なのですが、
海沿いの道を北上して見える岬は、実物以上に大きく感じ、一種の威圧感があります。

こうして、何回もこの地を訪れるようになり、観光地化されていない素朴な静かさが
自分の肌に合うと感じ、ついにこの地に近い場所に住処を構える事にしました。


「ユカをよぶ海」の背景

この漫画は、ちばてつや氏が昭和34年(*)に描いた作品で、飯岡町が物語の舞台になっています。
当時、若い漫画家の多くが少女漫画を手掛けており、この作品もその中の1つになります。
ちばてつや氏は、父方の故郷である飯岡に1年ほど住まわれていたそうですが、この作品では
その短い期間とは裏腹に、郷土愛とも思えるくらいに飯岡の事が描かれています。
飯岡灯台、海っ子山っこ、総武本線のトンネル・・・具体的な地名は書かれていませんが、
読めばすぐにここだと分かる所ばかりです。
また、描写のところどころで、銚子、旭、猿田などの地名が見えます。これを郷土愛と呼ばず
して何と呼ぶのでしょう。
ちば氏自身も、「ユカをよぶ海」は思い入れのある作品です、と語っておられます。


ユカをよぶ海(虫プロ)


飯岡駅


トラックに「銚子」の文字


飯岡、猿田、旭


刑部岬(と思われる)ユカがお父さんと暮らした所

(*)昭和34年の間違いでした。訂正しました。

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第6話:ヘンテナとフォークヘンテナ

「ヘンテナ」という名前のアンテナをご存じでしょうか?
1970年代に、FCZ研究所のJH1FCZ局が所属する相模クラブで、一人の中学生ハム局の考案から
開発が始まったアンテナと聞いています。

その後、ネーミングの怪しさから一般誌にはあまり紹介されませんでしたが、50MHzを中心に
アクティブな若いハム局からは支持されて、現在に至っています。

メーカー市販品は現在ありませんが、単純な構造で自作も簡単に出来ますので、今回ここで
取り上げてみたいと思います。
あわせて、このアンテナの変形である「フォークヘンテナ」もご紹介します。


■ヘンテナ(基本形)

このアンテナの基本形は、次のような形をしています。


文献によると、最初は正方形のクワッドを上下2つにしたものを、SWRを下げるために
試行錯誤して変形したところ、この形に落ち着いたとのことです。

特徴的なのは、給電部のエレメントをスライドしてSWRを下げるやりかたです。
この方法がユニークなので、「変なアンテナ」→「ヘンテナ」という名称になったようです。

今では、このアンテナが、単体でDP比で数dbのゲインがあることが立証されています。
50MHzでは水平偏波で縦3mと、ちょっと大きめになりますが、スペース的に八木が上げる
のが難しいちょっとした移動などで重宝します。

給電点の同軸ケーブルとのマッチングは、1:1のバズーカーマッチが良く知られていますが、
私のズボラなやりかた(同軸ケーブルの直接給電)でも何ら問題なく使えます。

紹介記事などではしばしば横幅がλ/6と紹介されていますが、実際にはもう少し幅狭の0.147λで
設計すると、簡単に50ΩでSWRが下がります。


■フォークヘンテナ

ヘンテナの縦エレメントを下半分だけにしたユニークなアンテナで、フォークのような形を
していることからネーミングになったようです。

ループアンテナとしてのゲインは失われますが、それでもダイポールと同等のゲインがあり、
8の字指向性もなくなりますので、八方美人のようなアンテナだと言われています。

50MHzでは横1m、縦1.5mですので、3mのダイポールよりずっとコンパクトになります。


■ベントフォークアンテナ

最後にご紹介するのは、小さいフォークヘンテナをさらに折り曲げて最小の大きさにした、
究極のコンパクトアンテナです。


大きさは、50Mhzで横1m×縦1m、スクエアローよりもちょっとだけ大きいだけのサイズです。
が、実感はスクエアローに比べてDPに近いゲインがあります。
144や430では製作しても実用性はないと考えますが、50MHz以下のバンドではコンパクトな
サイズでメリットがあると思います。

アパマンハムだった頃、ベランダにモービルホイップとこのアンテナを並べて比較したことが
ありますが、その差は歴然でした。

欠点は、SWRの整合範囲が狭く、調整がクリチカルな事ですが、これだけ小さいアンテナ
ですから、やむを得ないのかも知れません。

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プロフィール

HN:
hezhi
性別:
男性
自己紹介:
無線と自然と夜空の星をこよなく愛するアナログおやじです。
アマチュア無線は学生時代からやっていますが、最近ではUHFの
移動運用に加えてHFのDX(Digital Mode)の面白さにハマっています。

My HF DX status (2021-0101 to 2025-1126) (FT8)
WAC
  160m : remain SA, AF
  80m-10m : completed (Wkd)
WAZ (cfm/wkd)
  mixed : 39/40
  160m : 14/
  80m : 30/
  40m : 38/
  30m : 38/
  20m : 36/
  17m : 38/
  15m : 37/
  12m : 36/
  10m : 37/
WAS (cfm/wkd)
  mixed : 50/50
  160m : 7/
  80m : 30/
  40m : 47/48
  30m : 46/46
  20m : 50/50
  17m : 50/50
  15m : 50/50
  12m : 50/50
  10m : 50/50
DXCC (cfm/wkd)
  mixed : 211/240
  160m : 13/14
  80m : 87/102
  40m : 144/163
  30m : 136/160
  20m : 141/167
  17m : 138/163
  15m : 154/171
  12m : 127/150
  10m : 143/164

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