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BJYの備忘録

千葉県東総でアマチュア無線を楽しんでいます。 UHFが好きで、主に九十九里エリアでお手軽移動運用中。 ※blogというより備忘録なので、日記になってません(笑)

第15話:14MHzのGPを作りました(副題:やさしいGPの製作)

今年に入って、やっとHFのFT8にもデビューしました。
新しいRIGが買えないので、IC-9700+古いトランスバーター(IF:144)の荒業です ^^;。
今のところ自宅には7MHzのDPしかないので、これで数日試してみましたが、
DX周波数(7074)を覗いてみたら、見える見える、、、QRMMの嵐になってます。
大半はBYとJAですが、WやEUもかなりの数です。一度に見える数が多すぎて、
WSDT-Xの画面サイズを大きくしてもスクロールしてしまい、最初にデコードした局が
隠れてしまいます。
こんな状態ですから、どの周波数でどの局を呼んだら良いのかさっぱり分からず、
適当にコールしてみましたが、感触としてはASとWには何とか飛んでいる感じ。
EUは俗に言う「ウラルの壁」が厚く、信号は他のJA局が送っているレポートと
それほど差はないのに、まったく飛んで行きません。恐らく向こうでは
EU局が潰し合いでQRMの嵐になっているのでしょう。
パワーが無いとダメだと感じました。

気を取り直してJAの周波数(7041)に行くと、こちらはそれほど混んでいません。
今は冬場なので聞こえる時間帯が限られているのでしょうが、皆さんそれほど
RIGのパワーを出していないようです。実際eQSLで送られてきたカードを見ると
50WにGPクラスの設備の方が多く、中には1Wとか0.5W!の方もいらっしゃいます。

お昼にはいつも移動運用でお世話になっているローカル局からもFT8で呼ばれ、
QSOのあと430FMでごあいさつして、FT8の色々なアドバイスを頂きました。

話の中で、「14MHzのFT8はこの時期でもDXが出来て面白いよ」と言われ、私も
発奮してやってみたくなり、日没までまだ数時間あるので、急いでアンテナを
作ることにしました。

何を作ろうか一瞬迷いましたが、まずは簡単なGPに決めて、材料を用意。
幸い、必要な部材はすべて手持ちのもので間に合いましたので、早速製作開始。
思い立ってから、製作→設置→調整→完成まで2時間半の、超早業!
夕方にはON the Airを果たすことができました。
以下は、その記録をまとめたものです。


■材料
・5.4mのグラスファイバーロッド
 これは、軽量小型の伸縮ロッドで、「W-GR-540H Mini」という商品名です。
 普段はHFの移動運用に携帯していますが、今回は垂直エレメント(ワイヤー)の
 固定用に使用しました。
・モービルホイップ:第一電波工業「MD-200」
 伸縮ロッドをモービル基台に取り付けるための単なる”支え”用です。伸縮ロッドを
 固定するのにもっと良い方法があれば、この部分は不要です。
・ビニール線
 アンテナエレメントとラジアル用のワイヤーです。今回は手持ちの関係でAWG24を
 用いました。50W運用であればこのくらいの太さで十分です。
・モービルアンテナ基台用アース端子
 ラジアルワイヤーを取り付けるための、大型の丸型端子です。
 M型中継コネクタ(MA-JJ)が入る大きさの穴が開いており、ネットで
 「モービルアンテナ基台用アース端子」で検索すれば、すぐ見つかります。

■設計
・形状
 アンテナ形状は、「フルサイズのL型GP」とします。L型GPとは、ラジアル本数が
 1本の、”L”の形をしたGPという意味です。
 本当は、ラジアル本数は2本以上が望ましいのですが、今回は簡易的な設置の理由で、
 この形状にしました。
・垂直エレメント(ワイヤー)の長さ
 中心周波数を14.100MHzとします。14MHzバンドは14.000MHz~14.350MHzまでの
 350KHz幅がありますが、私は主にFT8とCWの運用を予定していますので、14.100に
 決めました。
 GPアンテナの垂直部分はλ/4ですので、300÷14.1×0.25 = 5.319m、端数を切り捨てて
 5.3mとします。
 よく、DP(ダイポール)アンテナの計算式に”λ/2×短縮率0.96”と書いてありますが、
 これは特性抵抗が73Ωのダイポールを50Ωの給電点に合わせるための方法なので、
 今回のようなワイヤーのGPの場合には短縮率は考慮しなくても大丈夫です。
 (ただ、厳密に言うと材料や太さにより短縮が必要な場合もあります)
・ラジアルエレメント(ワイヤー)の長さ
 基本的には垂直エレメントと同じ長さでOKです。

■製作
1)今回は、モービルホイップ(MD-200)が垂直エレメントの一部として機能しますので、
 まずMD-200の”カセットコイル”部分を短絡して1本の線にしてしまいます。(写真参照)
2)垂直エレメントとラジアルエレメントのビニール線を切り出します。
 垂直エレメントは、MD-200のエレメントに延長して取り付ける形になりますので、
 MD-200のエレメント先端にギボシ端子などで圧着して固定させ、
 MD-200と合わせて全体の長さが5.3mになるようにカットします。
 ラジアルエレメントは、そのまま5.3mでカットします。
3)伸縮ロッドをいっぱいに伸ばし、伸縮部分のつなぎ目をビニールテープで止めます。
 そして、この伸縮ロッドにMD-200と垂直エレメントを一体化させて取り付け、
 所々をビニールテープで固定します。(写真参照)
4)モービルアンテナ基台用アース端子に、ラジアルエレメントを圧着します。
 アース端子の圧着端子は穴が大きくビニール線の径と合いませんので、ビニール線は
 いったんギボシ端子に圧着して、ギボシ端子とアース端子同士を圧着させます。
 ビニール線をギボシ端子に圧着する際、そのままだとワイヤーがちぎれやすいので、
 強化のためにビニールの部分を2重にしてギボシ端子に固定します。(写真参照)

■仮設置と調整
1)まずアンテナ調整のため、アンテナを地上高2.5mの高さに仮設置します。
 私の場合は伸縮アルミポールにモービル基台を取り付け、この基台に、アース端子
 (ラジアルエレメント)と、MD-200(垂直エレメント)を取り付けました。
 ラジアルエレメントは、ナイロンロープなどに絡めて設置しますが、先端部分は
 ピンと張るのでなく、30cmくらいの”調整ヒゲ”を垂らしておきます。
2)モービル基台に同軸ケーブルを取り付け、アンテナアナライザーでSWR最低点を
 見つけます。14MHz付近で必ずSWR最低点があるはずです。
 この未調整の状態で、SWR最低点が見つからない、もしくはSWR最低点でもSWRが
 高い場合は、電気的に異常がありますので、ビニール線の圧着部分など、あやしい
 部分を再点検してください。特にラジアルが電気的に接続されていないと、SWRの
 最低点でもSWRが高く表示されます。
 アンテナ調整は、ラジアルエレメントの長さ調整で行います。SWR最低点が
 目的周波数より低い場合はエレメントをカットし、目的周波数より高い場合は
 エレメントを継ぎ足す、という手順で行いますが、注意しなければならないのは
 低い地上高での仮設置状態で調整して、実際のアンテナ設置高さまで上げると、
 共振周波数は必ず高い方にシフトしますので、HFや50MHzでは、仮設置の調整時に、
 その分を見込んで、少し低い周波数に合うように調整します。
 (144MHz以上は、波長が短いので、仮設置の高さでも電気的には十分な地上高があり、
 実設置の高さに上げても周波数が変化しませんので、この配慮は不要です)
 具体的には、今回の場合、設計周波数が14.100MHz、実設置高さが4.5mなので、
 仮設置の高さでの調整周波数を、少し低い14.000MHzとしました。
3)ラジアル長の調整
 アンテナアナライザーを見ながら、SWR最低点が14.000MHzになるように、
 ラジアルエレメントをカットまたは継ぎ足しします。
 一度にカットまたは継ぎ足しする長さは、調整周波数より100kHz以上外れている
 場合は10cm単位で、それ以下の場合は5cm単位でOKです。
 私の場合は、オリジナルの状態でSWR最低点が14.230MHz付近でしたので、15cm
 エレメントを継ぎ足し、さらに追加したエレメントを内側に折り返して、14.000MHzに
 なりました。

■本設置
 仮設置での調整後、本設置の高さまでアンテナを上げます。
 今回は伸縮アルミポールを4.5mの高さまで上げましたので、給電点の地上高も4.5mに
 なりました。
 ラジアルも真横に(平行に)なるように張り、ラジアルを絡めているナイロンロープは
 別の伸縮ロッド(4.5m高)に取り付けました。
 アンテナからの同軸ケーブルを屋外でアンテナアナライザーにつけて確認すると、
 SWR最低点は目論見通りの14.100MHz付近(14.075)、SWRは1.05でした。
 シャック内でも、SWR最低点は変わらず14.075MHz、SWRは1.00でした。

■特性
 最後にこのアンテナのSWR特性を測って、終了としました。(室内にて測定)
 ・13.850MHz ... SWR 1.5
 ・13.950MHz ... SWR 1.15
 ・14.050MHz ... SWR 1.00
 ・14.200MHz ... SWR 1.15
 ・14.350MHz ... SWR 1.5
 さすがフルサイズのアンテナ、広帯域です。14MHzの下の方に調整したにも拘らず、
 バンドエッジの14.350MHzでも実用域に入っています。

■感想
 とっさの思いつきでインスタントで作りあげたアンテナですが、特にトラブルもなく、
 意外なほどスッキリと出来上がりました。
 HFのGPというと、太いアルミパイプを使った頑丈な物を想像してしまいますが、
 今回のようにワイヤーを使った物でも、電気的には全く問題なく動作しますので、
 試しに14MHzに出てみたいという方には、楽しい工作ではないでしょうか。

■ご注意
 今回のアンテナは、あくまで簡易設置タイプですので、機械的には弱い点が多いです。
 全天候で風雨に耐えるアンテナにするためには、全体的に強度を上げる必要があります。
 この点は、十分にご理解ください。


アンテナ全景


給電点付近のクローズアップ


ラジアル取付部のクローズアップ


ラジアル先端部のクローズアップ


ANT直下でのSWR


室内でのSWR (中心周波数)


室内でのSWR (バンドエッジ)

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凄い、いいですね

スゴーイ 格好いい仕上がりです。
やはり、アナライザーがあると便利ですね。

しかも、全体的にSWR 1.5以下で、中心周波数が1.0

Re:凄い、いいですね

NVLさん、ありがとうございます。
アンテナアナライザーは、国産品は高価になってしまいましたね。
最近は小型で安価なものがネットで手に入るようですが、私はまだ実物を見たことがありません。
昔はディップメータとインピーダンスメータのキットが出回っていたので、これでアンテナ調整をしていました。昔と言っても90年頃のキット全盛時代の話です。埼玉のスワンテックというメーカーでした。使い勝手が良かったので、また復活してくれないかなーと願っているのですが。
  • from hezhi |
  • 2021/01/21 (10:31)
  

プロフィール

HN:
hezhi
性別:
男性
自己紹介:
無線と自然と夜空の星をこよなく愛するアナログおやじです。
アマチュア無線は学生時代からやっていますが、最近ではUHFの
移動運用に加えてHFのDX(Digital Mode)の面白さにハマっています。

更新記録(2023-1005)
・My HF DX statusを詳細化しました。

My HF DX status (2021-0101 to 2025-0413) (FT8)
WAC
  160m : remain SA, AF
  80m : remain AF (Cfm)
  80m-10m : completed (Wkd)
WAZ (cfm/wkd)
  mixed : 39/40
  160m : 14/
  80m : 28/
  40m : 38/
  30m : 37/
  20m : 36/
  17m : 38/
  15m : 37/
  12m : 36/
  10m : 37/
WAS (cfm/wkd)
  mixed : 50/50
  160m : 7/
  80m : 30/
  40m : 47/48
  30m : 46/46
  20m : 49/49
  17m : 50/50
  15m : 50/50
  12m : 50/50
  10m : 50/50
DXCC (cfm/wkd)
  mixed : 205/227
  160m : 13/14
  80m : 79/92
  40m : 138/156
  30m : 131/148
  20m : 123/142
  17m : 137/157
  15m : 146/165
  12m : 121/143
  10m : 138/157

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