BJYの備忘録
千葉県東総でアマチュア無線を楽しんでいます。 UHFが好きで、主に九十九里エリアでお手軽移動運用中。 ※blogというより備忘録なので、日記になってません(笑)
- 2021.08.19 第30話:ZS6BKWは小休止・・・ロングワイヤー2題
- 2021.07.27 第28話:ZS6BKW ANT その後の経過
- 2021.07.11 第27話:ロングワイヤーからG5RV,そしてZS6BKWへ(その3)
- 2021.07.11 第26話:ロングワイヤーからG5RV,そしてZS6BKWへ(その2)
- 2021.07.11 第25話:ロングワイヤーからG5RV,そしてZS6BKWへ(その1)
第30話:ZS6BKWは小休止・・・ロングワイヤー2題
が、8月に入って連日の猛暑・・・いやー参りました。気温35℃では外に出る気になれません。
おまけに、FDコンテストの日は、当地では台風の影響で雨風強く移動も出来ず。
仕方なく、固定でHFでのプチ参加となりました。
ということで、8月に入っても相変わらずHFの運用を続けているわけですが、
このところ、ウチのZS6BKWはハイバンドで一向に調子が上がらず、ローバンドでも
段々と限界が見えてくるようになりました。それは、
・3.5MHzでは、南米とはQSOできるが、ヨーロッパはかすりもしない!
・1.9MHzでは、国内QSOでも力不足を感じる(特にSSB)
今のところ、100Wでの運用なので、これを200WにQROすれば少しはジレンマが
解消するのかもしれませんが、それよりもANTで試してみたい事が沢山あります。
そんなわけで、今回、ZS6BKWは少しお休みさせて、他のANTの実験を行いました。
<実験1>ZS6BKW流用の1.8MHz用T型LW
これは、上の画像を見て頂ければ一目瞭然だと思います。
①は数年前に試したもので、7MHzのDPをそのまま一切手を加えずに、DPの
エレメント(片側10m)と給電ケーブル(10m)を一体化して、T型のLWと見立てた
ものです。アース側はλ/4のカウンターポイズとしています。
このANTは、こんな簡単な構造でも国内QSOには十分通用しました。
②は今回試したもので、①と同様にZS6BKWはそのまま一切手を加えずに、
ZS6BKWの横エレメント(片側14.25m)とラダーライン(12.1m)と給電ケーブル
(35m)を一体化して、T型のLWと見立てたものです。合計の長さがλ/4より
遥かに長いのですが、一応ANTカプラーの整合範囲内でしたのでOKとします。
アース側はλ/4のカウンターポイズとしています。
さて結果は、、、
・ノイズレベルが高い(常時S9+)→SSBではキツイ。FT8なら問題なし
・飛びの方も期待したほどには向上していない。
・SWRはANTカプラーの出口ですんなり下がるので、RIGへの負担は軽い。
となり、ZS6BKWに比べて良い点はSWRだけになってしまいました。
ちなみに同軸ケーブル終端の短絡をやめて元のZS6BKWの姿に戻すと、
ノイズレベルはS4に減り、S5のSSBの局もちゃんと聞きとれました。
やはり耳の良さは重要ですね。
<実験2>ZS6BKW流用の42m長逆L型LW
実験1の結果を踏まえて、ZS6BKWを丸ごと流用するのはボツにして、
ZS6BKWの片側のエレメントだけを延長して長いロングワイヤー(全長約42m)
としたものを実験してみました。ワイヤーの先端は地上高6mです。
全体のスタイルとしては、逆L型のロングワイヤーとなり、給電部のマッチングは
ATU(AH-3)を用い、アースは以前使っていたカウンターポイズに30mのワイヤーを
パラレルにして、低い周波数の効率を上げるようにしました。
この場合、ZS6BKWのもう片方のエレメントは不要になるので、未接続とします。
南東方向にワイヤを展開した理由は、過去の数々のロングワイヤーの実験結果から、
「波長に比べて低い高さに設置したλ/4の逆L型のLWは、ワイヤーの展開方向とは
逆の方向に指向性が出る」ことに由ります。つまり、今回の目論見は、1.8MHzや
3.5MHzでの北西方向の飛びを期待してのことです。
全体を42mにしたのは、3.5MHzのλ/2を意識したためです。
1.8MHzでλ/4以上、3.5MHzでλ/2、7MHzで1λ、ここまでが期待の範囲です。
10MHz以上のバンドは全く期待していませんでした。
あと、ロングワイヤーなどこの手の接地タイプのANTは、家電ノイズの影響を
受けやすいので、”おまじない”としてワイヤーの先端に直径15cmの小ループを
接続しました。(1.8MHzでのノイズ軽減対策用です)
さて、今度の結果はどうでしょうか、、、
ローバンド:
・1.8MHz・・・国内の西方面に対しては良好。北方面はやや弱くなった感じ。
海外はASロシアとJD1とQSO。pskpeporterではVKにも-15dbで飛んでいる様子。
心配していたノイズレベルはS6で、SSBでもQRK5でQSOできる。
・3.5MHz・・・サイド方向の南米方面は弱くなったので、一応ビームは効いている感じ。
ヨーロッパはまだ期待したほどには入感していない。
・7MHz・・・北米にもヨーロッパにもZS6BKW並みには飛ぶ。指向性は感じない。
ミドルバンド:
・10MHz・・・ZS6BKWでは使用不可のバンドだったので比較はできないが、
北米にもヨーロッパにもそれなりに飛んでいる。NEWエンティティが増えて7MHzと
拮抗するようになった。
・14MHz・・・まだ試していない
・18MHz・・・なぜかヨーロッパに良く飛んでいる。すごいぞLW!
ハイバンド:
・21MHz・・・近隣の国はQSOに問題なし。
・24MHz・・・まだ試していない
・28MHz・・・近隣の国はQSOに問題なし。ZS6BKWより良い。
全体的な感想としては、期待したローバンドの感触はまだ何とも言えないですが、
全く期待していなかった10MHz以上で意外にも好成績となっています。
これからしばらく様子見をしてみようと思います。
第28話:ZS6BKW ANT その後の経過
このアンテナを使い始めてから1か月半が経過し、QSO数も800局を超えましたので、
その後の経過をご報告させて頂きます。なお、出力は100Wのままです。
各バンドの使用感
1.8MHz ・・・
このバンドはSWRが高く、RIG内蔵のAUTO TUNERでTUNE出来たり出来なかったり
といった不安定な状態なので、今はお休み中です。
3.5/7MHz ・・・
まずまずの成果です。この時期の夕方から夜にかけて、北米~中米~南米が入感し、
信号自体はそれほど強くなった印象はありませんが、弱い信号でも呼べばちゃんと
QSOできるようになりました。数日前の3.5MHzのOA4AI(ペルー)も、CQが見えた時点で
-24dbと弱かったのですが、呼んでみたら他のJA局より先にコールバックがありました。
7MHzも同様に、YV5JLO(ベネズエラ)の-21dbのCQに応答して数回で取ってもらえました。
以前に比べて、送受信のバランスが良くなったと感じています。
14/18MHz ・・・
これらのバンドも、G5RV-Halfの時に比べて、確実に飛びが良くなったと感じます。
3.5/7MHz同様に、DXの信号強度自体はさほど変化がないのですが、送受信のバランスが
良くなったことで、以前は”あともう一歩”でQSO出来なかった所とQSOできるように
なりました。
具体的に言うと、G5RV-HalfではUr-10db/My-20dbだったのが、ZS6BKWにしてからは
Ur-10db/My-15dbになり、送信レポートと受信レポートの差が少なくなったことで、
相手局に自分の信号が「見える」状態になったことが大きいと思います。
4L1MA(ジョージア)やEK1KE(アルメニア)は以前はどうしても拾ってもらえなかったの
ですが、このANTにしてようやくQSO出来ました。
24/28/50MHz ・・・
こららのバンドについては、”イマイチ”で、前回の記事状態から変わっていません。
設置環境が主な原因かと思いますが、今の所は、耳も飛びも悪い、という印象です。
かといって、まったく飛んでいないわけでもないのですが、とにかく送受信の
バランスが悪過ぎて、国内の-5dbくらいの信号の局を呼んでも無視されてしまう
有り様です。
本来、ZS6BKWの実力はこんなものではないと思うのですが、ANTの設置環境は
おいそれとは変更はできないので、季節が涼しくなったら改めて考えてみようと
思っています。
第27話:ロングワイヤーからG5RV,そしてZS6BKWへ(その3)
ロングワイヤーからG5RV-Halfに取り替えて1ヶ月半、
1.8MHzや3.5MHzでの意外な収穫もあって、オールバンドでそれなりに楽しんで使って来ましたが、
ハイバンドは思ったような成果が得られずに、何とかならないものだろうかと思い始めていました。
実は、前回の記事では触れていなかったのですが、G5RV-Halfを設置する際にちょっとした失敗がありました。
それは、設置高さの不足です。
最初はトップを11m高、つまりATUとラダーラインの給電部を6m高にする予定だったのですが、
いざ上げてみたら、ATUのコントロールケーブルの長さが足りないことが分かり、
今更アンテナを上げる段階でコントロールケーブルを継ぎ足す工事をする気力もなく・・・
結局、トップは8m高、ATUとラダーラインの給電部は3m高という、何とも寸足らずな高さになってしまいました。
ですから、ハイバンドで飛びを期待するのはちょっと無理があったのかもしれません。
(それにしても、この低さで1.9MHzが予想外に使えたのは驚きです)
さて、こうして次のステップにグレードアップしたいと考えた上で、次の2つのプランが浮上しました。
1)このままサイズを2倍にして、G5RV-Fullとする
2)サイズを2倍にしてG5RV-Fullとしたものをベースに、改良型のZS6BKWとして再設計する
そして、色々検討した結果、ZS6BKWの製作にチャレンジすることにしました。
(製作に際しては、JA9BKJ OMのwebがとても参考になりました)
ここで”ZS6BKW”という聞きなれないネーミングが出てきましたが、これはG5RVアンテナを50Ω系の同軸ケーブルに直接給電できるように改良したもので、考案者のZS6BKWのコールサインがそのままアンテナの俗称として通用しています。(G5RVもコールサインそのものですが、こちらは同軸ケーブルの入手が困難だった約9070年前の発案です!)
では、ZS6BKWアンテナ(以下ZS6BKWと省略)について、webで得られた情報を簡単に説明しておきます。
結論が先になってしまいますが、私自身の製作検証もカッコ内に★印で付記しました。
基本はG5RV-FullSize
基本的なエレメントサイズやラダーラインの構造はG5RVのフルサイズとほぼ同じですが、
ZS6BKWではタテヨコのサイズ比を微妙に変更して、ラダーライン終端での50Ω直接給電を可能にしています。
(★実際に作ってみたところ、本当の話でした)
7/14/18/24/28/50MHzがアンテナチューナー無しで運用出来る!
元々G5RVが基本なので、7/14/28が乗るのは理解できるのですが、WARCバンドの18や24、更に50MHzも50Ωで給電可能との事。本当ならば凄い話!
(★実際に作ってみたところ、本当の話でした)
(★1.8MHzと3.5MHzは高SWRで、RIG内蔵チューナーで何とか運用できましたが、設置環境で変わると思います)
同軸ケーブルとのマッチング(平衡/不平衡)
同軸ケーブル側に1:1のソーターバランを入れて対応させる
(★私の場合はバランなしでやってみましたが、今のところノートラブルです)
10/21MHzはSWRが高いので無理
G5RVではこれらのバンドはチューナー併用で使えたのですが、ZS6BKWではSWRが無限大近くになってしまうためNGとの事。
(★実際に作ってみたところ、本当の話でした)
G5RVと同じ理屈で、HalfSizeにもDoubleSizeにも展開できる
G5RV同様、HalfSizeの場合は7MHz以上、DoubleSizeの場合は1.8MHz以上で実用になるそうです。
(私の場合はまだFullSizeだけの製作経験なので、真相は不明)
と、このように10/21MHzが使えないデメリットはあるものの、それ以外のバンドはチューナー無しで運用できるので、
大きな魅力があります。またG5RVで苦手だったWARCバンドの18と24が低SWRなのは嬉しい限りです。
私の場合、現在200W固定局の免許ですが、G5RV-Halfで耐電力100WのATUを用いている関係で、100W以上のパワーが入れられません。
しかし、このZS6BKWがうまくいけば、ATUが不要になるので200WにQROすることができます。この点でもFBです。
製作編
では早速、ZS6BKWの製作に取り掛かります。
現在のG5RV-Halfからの変更は、以下の通りです。
・水平エレメント:片側が14.25m、両方で28.5mになります。
・ラダーライン:長さが13.3mになります。2線の間隔は変更しません。
(この長さは設計上なので、実際の設置環境で調整して最適長を求めます)
・ラダーラインの終端は、ATUではなく同軸ケーブルに直に接続します。
製作の要領は、前回のG5RV-Halfと同じです。ただ単に水平エレメントとラダーラインを、所定の長さになるように継ぎ足すだけです。
今回は、ラダーラインが長いため、トップは最初の計画通りに11m高になりました。
但し、11mの高さに対してラダーラインがそれ以上の長さなので、ラダーラインを斜めに引き下ろして、結局給電点は地上高1mという低さになってしまいました(笑)
調整編
このアンテナは、作って上げただけでは正常に動作しません。
50Ωの同軸ケーブルに直に給電できるよう、目的の周波数で低SWRを実現するために、
アンテナの長さ調整が必要です。
私の場合、長さ調整は、ラダーラインのみで行いました。水平エレメントでも調整可能なのかもしれませんが、
目的の周波数が単一ではないので、アンテナを上げた状態で幾つもの周波数をチェックしながら水平エレメントをカットするのは大変です。
その点、ラダーラインの終端であれば低い場所で椅子に座って調整作業が楽ですから、このやり方をお勧めします。
調整方法は、ラダーラインの先端を10mmほどビニール線を剥いて、ここにアンテナアナライザーを接続します。
実際には、アンテナアナライザーの同軸コネクタに、長さ1mの同軸ケーブル(ケーブル先端の芯線と被覆線にワニグチクリップを取り付けたもの)をつけ、ラダーラインの先端にワニグチクリップを挟んで各周波数でのSWRを測定します。
目的の周波数付近にSWRが最小になるポイントがありますので、この周波数が目的周波数より低い場合はビニール線をカットして、目的周波数より高い場合は逆にビニール線を継ぎ足す作業を繰り返し、全ての目的周波数でSWRが最小に追い込めたら終了です。
※オリジナルのラダーライン設計長は13.3mですが、これは裸銅線の場合ですから、今回のようなビニール被覆線では短縮率が作用して、全体的に低い周波数にシフトしています。ですので、基本的にはビニール線のカットのみで済むはずです。
但し、設置環境にもよると思いますが、実際には全ての目的周波数でSWRの底があるわけではありません。私の場合は次の図のようになりました。
(但し、14と24はバンド外にSWRの底があります。これをバンド内に調整することも可能ですが逆に28と50のSWRの底がどんどん高い周波数にシフトしてしまうため、このポイントで妥協しました)
3.5MHzは、低SWRにはなりませんでしたが、RIG内蔵のチューナーで何とか運用可能です。
1.8MHzは、最初は全くポイントが見つからなかったのですが、最終長で測ってみたらSWR=4になっていました。
7MHzは、広帯域です。7.0~7.2MHzがSWR1.5以内に収まっています。
28MHzはSWR最低点が上の方にあり、FT8の周波数では2.0とちょっと苦しい感じです。
50MHzは50.0~50.85の間がSWR1.5以内になりました。
↑調整時の風景。ラダーラインの先端に、ワニ口クリップで先端を加工した短い同軸ケーブルを
接続します。
↑完成したZS6BKW。今度は11mの高さに設置することができました。
運用編
このアンテナを上げてからまだ日が浅いので、レポートできるほどのQSO数ではありませんが、感触として7/14/18MHzは、G5RV-Halfに比べて飛びが良くなったと感じています。このアンテナを上げてから、DXCC(mix)が5つ増えました。ちなみに、出力は100Wのままです。
24/28/50MHzは、G5RV-Halfとあまり変わりないような感じです。もう少し様子見が必要です。
ちなみに50MHzはこのアンテナで6m&Downコンテストにも出てみましたが、GWで他エリアの局も聞こえる局とはすべてQSOできました。
第26話:ロングワイヤーからG5RV,そしてZS6BKWへ(その2)
さて、こうしてG5RVのハーフサイズのアンテナを作ることを決意した訳ですが、今一度、webに記載されている情報を元に
このアンテナの特性をおさらいしてみることにします。
・形状は水平ダイポールとほぼ同じで、違いは縦の部分が同軸ケーブルではなくハシゴフィーダーを用いており、この部分もアンテナとして動作する
(なので、これ以降はハシゴフィーダーとは呼ばずに、ラダーラインと表記します)
・サイズに関しては、水平部のエレメントが片側15.56m(全長31.12m)、ラダーラインが10.4mで、これがFull-Sizeの基本形となる
・サイズ違いの派生バージョンとして、Half-Size、Double-Sizeなどがあり、Full-Sizeでは3.5MHz以上、Half-Sizeでは7MHz以上、
Double-Sizeでは1.8MHz以上の周波数が実用になる
・マルチバンド用として使用が可能で、設計周波数の偶数倍の周波数では、高調波アンテナとして動作する。
一例として、Full-Sizeの場合は3.5/7/14/28MHz用、Half-Sizeの場合は7/14/28MHz用となり、21MHzやWARCバンドでは非同調のため効率は良くない
・ラダーラインは、450Ω、300Ωなどの平行2線を用いる。また、給電点インピーダンスが高いので、4:1のバランを介して50Ω同軸ケーブルと接続する
(私の場合は、設計周波数以外のバンドや非同調のWARCバンドも含めて試してみたかったので、バランを通さずにATU(ICOM AH-3)によるマッチングとしました)
このアンテナの動作原理や、ラダーラインの2線間の間隔の計算式は、各局のwebに詳しい情報がありますので、
まずはそれらのwebを参考にされてください。私は、JA9TTT OMの記事を参考にさせて頂きました。
次は、製作編です。
<材料>
アンテナマスト:グラスファイバー釣り竿:私は以前からロングワイヤーで使っていた8m物の竿をそのまま流用しました。
もし金属製のマストを使う場合は、ラダーラインをなるべくマストから離すように工夫が必要です。
水平エレメント:VFF-0.5S-WR ビニール被覆銅線平行線(色:白) 長さ7.74m+α
ラダーライン:VFF-1.25S-RWR ビニール被覆銅線平行線(色:赤白) 長さ5.16m+α
※平行線はあとで2つに裂いて単線2本として用いますが、単線を2本別々に購入するよりも長さが確実に均等になり、
長さの目印のマーカーを書く場合も平行線ならば1回で済みますので手間がかかりません。
<ラダーラインのセパレータ>
DIY店で手に入る、配線用のモールの下部分だけを短冊状にカットして使います。G5RV-Halfであれば、1m物が1本あれば十分です。
<4:11:9バラン>
今回の例では屋外用のATU(オートアンテナチューナー)を使いますので、バランは不要です。
<その他小物>
インシュロック(小):ラダーラインのセパレータを固定するために用います。一袋50個~100個入りで売っています。
水平エレメントとラダーラインの接続部分を保持するための部品:昔からダイポールの給電点の定番である「波型ガイシ」が使えますが、私は手持ちの軽量の耐候性の樹脂(農業用のビニールハウスに使う留め具の、中の金属を抜いたもの)を使いました。
クレモナロープ:耐候性のロープなら何でもOKです。水平エレメントの両端をロープで支柱に固定するために使います。
製作手順
・まず、ラダーラインの製作から取り掛かります。
ラダーラインはG5RVアンテナの要所です。これが出来上がれば、このアンテナの90%は完成したことになります。
1)VFF-1.25S-赤白の平行ビニール線を、2線のまま、5.16mの長さにカットします。
カット後、そのまま真っ直ぐに伸ばし、20cm間隔で、油性マジックで印を書きます(2線とも印がわかるように)。
この印は、あとでセパレータを入れる際の目印となります。
2)配線用モールを下の部分(平らな面の方)だけを取り外します。コの字の面の方はこれ以降使用しません。
3)2)の配線用モールを、35mmずつ短冊状にカットします。大きめのニッパーで簡単に切れます。
4)3)で短冊状にカットしたものに、27mmの間隔で、3.5mm径の穴を2か所に穴をあけます。
27mmというのは、1.25mm径の銅線を使った場合の450Ωラダーラインにおける2線の間隔です。
5)平行ビニール線を2つに裂き、穴あけが済んだ短冊モールを、各々の単線に入れていきます。
この時、モールの平らな面が下側になるようにします。(あとでインシュロックで固定する際に同じ位置に揃えるため)
6)先にビニール線に印をつけておいた所に、上の先端の方から順次、セパレータを移動させ、インシュロックで固定します。
固定方法は、セパレータの下面でインシュロックで単線を結び、インシュロックが動かないように固定します。
(セパレータの上面は固定する必要はありません。どのみちアンテナを上げれば重力でセパレータはきれいに等間隔に並びます)
7)最後に、ビニール単線の両端を10mmくらい剥いて、ハンダ上げします。
↑ラダーラインに使うビニール被覆の平行2線。わざわざ赤白を選んだのは、アンテナを上げた時に
ラダーラインが途中で捻れていないかどうかを色で確認するためです。
↑DIY店で売っている配線モール。今回は下の面だけを使います。
↑インシュロック。束線バンドのことです。
↑モールを35mmの短冊にカットして、間隔27mmで2か所の穴を開けます。穴径は3.5mm
これをラダーラインのセパレータとして用います。
↑単線にセパレータを通し、あらかじめマーキングしておいた位置に、インシュロックでバインドします。
セパレータは平らな面が下になるようにします。こうすることでインシュロックがストッパーとなり、セパレータの落下防止の役割をします。
この作業は面倒でもセパレータ1個ずつ行うことをおすすめします。
↑ラダーラインの全体の姿はこんな感じです。
・次に、平行エレメントの切り出しと、ラダーラインとの接続を行います。
平行エレメントの加工はいたって簡単です。
1)VFF-0.5S-白白の平行ビニール線を、2線のまま、7.74mの長さにカットします。
2)平行ビニール線を2つに裂き、単線になった片側を10mmくらい剥いて、ハンダ上げします。
・最後に、平行エレメントとラダーラインを連結して完成です。
1)波型ガイシなどの樹脂の穴に、平行エレメントとラダーラインを直にハンダ付けしてインシュロックで固定します。
ダイポールを張る場合と同様に、タテヨコのエレメントに大きな力が加わらないように工夫してください。
・実際に設置する際には、ラダーラインが途中でクロスせずに真っすぐ降りていることを確認してください。
ラダーラインが途中で金属物や建物に接近している場合は、斜めになっても構わないので出来るだけそれらの障害物から離すように工夫します。
・水平部のエレメントはダイポール同様に、逆V型にしても問題ありません。
・ラダーラインの終端は、ATUのANT端子とアース端子に各々接続します。
↑左:ラダーラインのクローズアップ。マストはグラスファイバーの釣り竿
右:G5RV-Halfを8m高に設置。遠くから見るとダイポールとそっくり
運用編
ATU(AH-3)を使用して、1.8/3.5/7/10/14/18/21/24/28MHzの各バンドで快適にチューニングが取れます。
以前上げていた20m長のロングワイヤーはハイバンドで時々チューンできないことがあったのですが、
このアンテナではそのような事象は1回も起きていません。
各バンドで実運用した感触は以下の通りです。
1.8/3.5・・・G5RVのハーフサイズではこの2つのバンドは範囲外なのですが、実際に使ってみると予想外に飛びます。
特に1.8MHzは耳も飛びもロングワイヤーと遜色なく、FT8でJD1やUA0がストレスなくQSOできます。不思議です。
7/14・・・このアンテナの設計上のメイン周波数なので、ロングワイヤー同等かそれ以上に飛んでいる感じです。
10/18・・・ロングワイヤーよりやや劣る感じですが、一応EUもAFもQSOできました。
21/24/28・・・本当はこのアンテナでこれらのハイバンドに期待していたのですが、コンディションのせいなのか
それとも指向性のせいなのか、パッとしません。国内のQSOには問題ありませんが、DXにはちょっと苦しい感じがします。
これらの運用結果から、ほどなくフルサイズのG5RVにグレードアップする計画を立てました。
でも、どうせやるのだったら単にサイズを2倍にするだけでなく、以前から気になっていたG5RVの改良型 ーZS6BKWー の製作にチャレンジすることにしました。
(その3に続く)
第25話:ロングワイヤーからG5RV,そしてZS6BKWへ(その1)
先の記事で、今年上半期のQSO成果をご紹介しましたが、HF帯のDXでは何と言ってもアンテナが大きなポイントになります。
今年に入って、ダイポール→ループ→ロングワイヤー(その1、その2、その3)と、試行錯誤を繰り返して来ましたが、
続々届くDX局のeQSLカードを見てみると、"G5RV"というアンテナをお使いの局が多いことがわかりました。
恥ずかしながら、私自身はこのアンテナについて、名前は知っていたものの、詳しい知識は持っていなかったのですが、調べるうちに
とても魅力的なアンテナだということが分かってきました。
G5RVアンテナの特徴は、
1) マルチバンドに使える
(フルサイズでは3.5MHz以上、半分のサイズはG5RV-HalfまたはG5RV-Jrと呼ばれ、7MHz以上で実用になる)
2) トラップのような構造物がないので、軽量でメンテが不要
3) 給電にハシゴフィーダーを用い、この部分もアンテナとして動作する
4) 50Ω同軸ケーブルとは1:41:9のバランを介して接続する
とあり、特に1)はHFのマルチバンドをたった1本のアンテナでカバーすることができるので、大変魅力的です。
2)についても、私は数年前に、1本のアンテナで1.9MHz/3.5MHz/7MHzをカバーするトラップダイポールを自作して使用したことが
ありますが、やはりトラップの重量が負担となり、例の千葉県を襲った台風で粉々に切れてしまった経験があるので、
軽量でメンテフリーのG5RVは、この点でも私にとって魅力的です。
3)のハシゴフィーダーはこのアンテナの一番のカナメで、昔、電気店で普通に売っていた300ΩのTVフィーダーは、
今では店頭で見かけなくなり、海外製の450Ωフィーダーもありますが、高価で入手が困難です。
こうなると自作するしかありませんが、昔々の時代ならともかく、現代のアンテナはほとんどが同軸ケーブルでの給電ですから、
ハシゴフィーダーを作ったことのある方はごく少数ではないかと思います。
昔のアンテナ教科書には、ハシゴフィーダーを作るには、銅線を焼きいれして、2線間を固定するためのセパレータには
パラフィンを塗布した割り箸を使って・・・とか、ややこしいことが書かれています。
でも、ここまでしなくても、ハシゴフィーダーは自作出来ます。
一番簡単なのは、銅線は裸銅線の代わりにビニール被覆線を使い、セパレータは割り箸の代わりに樹脂を使うことです。
セパレータの材料によって耐久性が決まりますが、何年も上げっぱなしにするつもりがなければ、これからご紹介する「配線モール」で事が足ります。
こうして、段々プランが固まり、まずはハイバンド目的でG5RV-Halfを作ってみようと思い、ALL JAコンテストの直前に
製作に取りかかることにしました。
(その2に続く)
プロフィール
アマチュア無線は学生時代からやっていますが、最近ではUHFの
移動運用に加えてHFのDX(Digital Mode)の面白さにハマっています。
更新記録(2023-1005)
・My HF DX statusを詳細化しました。
My HF DX status (2021-0101 to 2025-0413) (FT8)
WAC
160m : remain SA, AF
80m : remain AF (Cfm)
80m-10m : completed (Wkd)
WAZ (cfm/wkd)
mixed : 39/40
160m : 14/
80m : 28/
40m : 38/
30m : 37/
20m : 36/
17m : 38/
15m : 37/
12m : 36/
10m : 37/
WAS (cfm/wkd)
mixed : 50/50
160m : 7/
80m : 30/
40m : 47/48
30m : 46/46
20m : 49/49
17m : 50/50
15m : 50/50
12m : 50/50
10m : 50/50
DXCC (cfm/wkd)
mixed : 205/227
160m : 13/14
80m : 79/92
40m : 138/156
30m : 131/148
20m : 123/142
17m : 137/157
15m : 146/165
12m : 121/143
10m : 138/157